フットボールネーション 1
「脚のきれいな選手求む! 」著:大武 ユキ
金管奏者が唇周辺の筋肉(口輪筋)を鍛えるために、
スプーンをくわえたり、特殊な器具を使ったりする
場合があります。いわゆる筋トレですね。
その結果どうなるかというと、
1.一時的に調子が良くなる
2.特定の場面や音域で調子が良くなる
けれども副作用として
3.バテやすくなる
4.柔軟性がなくなる
5.上達がストップする
などの現象があらわれる場合があります。
なぜこのようなことが
起きるのでしょうか?
サッカーの世界でも似た状況があるようです。筋力
トレーニングによって身体を鍛えた結果、ある特定
の場面では強くなったように感じられるけれども、
サッカー選手としての上達が阻害されるケースです。
大武ユキさんの「フットボールネーション」は、こ
れまでにないと思われるユニークなサッカー漫画。
運動科学的な視点から筋力トレーニングの効用と限
界を描こうとしたものです。どの筋肉を鍛えたら、
運動にどのような変化が生じるかがわかりやすく解
説されています(p202〜208)。
そこではフィジカルを強化するために筋力トレーニ
ングを重ねた結果、フィジカルは通用しないまま、
スピードが落ちて、キレがなくなり、視野も狭くな
り、疲れやすくなって、ケガが多くなり、引退にい
たった選手についてのエピソードが紹介されます。
内容はサッカーに関するものですが、金管奏者が読
んでもたくさんのヒントが得られるはずです。上記
の「器具を使った練習」のリスクについても、疑問
が解けると思います。
また、もっともポピュラーな練習方法のひとつであ
るロングトーンについても、やり方を誤るとたいへ
ん危険であることに気づかされます。
なぜ金管奏者は唇周辺の筋肉を鍛えてはいけないか。
その答えは、日本のサッカーが世界に通用するもの
になることと同じ文脈で語ることができます。
強いアウターマッスルは、アジアレベルや欧州でも
トップリーグ以外なら通用します。(中略)現在、
地球上で最も強いはずのスペイン代表を思い出して
下さい。アウターマッスルの鎧(よろい)を纏って
(まとって)いる選手が一人でもいますか?
(前傾書p208より引用)
金管奏法はタング(舌)とエア(呼吸)でなされる
というハーバート・クラークから伝わる教えは、最
先端のスポーツトレーニングと見事に符合している
のです。
<注意深くリスク回避したエクササイズ集>
スーパーロングトーン
伝統的金管練習のシステマティックアプローチ
著:杉山正
<ト音>
<へ音>
<タング&エア基本の基本>
ナチュラルアンブシュア52週間
〜金管初心者のためのシステムエクササイズ〜
著:杉山 正
<ト音>
<ヘ音>