タングマジック中国へ



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2009年11月4日〜9日の期間、杉山先生と私(黒坂)
は、タングマジック講習会のために北京を訪問しま
した。以下その記録です。



インデクス

【TM中国】北京到着 11/4
 北京へ
 上海万博プロジェクト
 中華三昧その1
 中国語でボトミングをどう説明する?
 龍の国のパワーにのせて

【TM中国】北京市第五十七中学 11/5
 中国の朝はお粥から
 ラストエンペラーの舞台で
 北京市第五十七中学
 熱烈歓迎宴

【TM中国】北京市海淀小学 11/6
 万里長城
 北京市海淀小
 史上初! 英語でW&B
 打ち上げは北京ダック

【TM中国】CASBEセミナー 11/7
 中国は動いている
 CASBEセミナー
 北京市少年宮
 懇親夕食会
 インターナショナル・ステラジャム
 四つの腹式呼吸

【TM中国】首都博物館 11/8
 とてつもない博物館
 ラストディナーは三色火鍋

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【註】文中のdrill#20先生は杉山正氏
   水行末は黒坂洋介のことです。







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【TM中国】北京到着 11/4
北京へ

11月4日朝9:30の全日空便で、羽田から北京空港へ
drill#20先生と一緒に向かいました。空港には、北
京海外国際音楽交流中心からヤンさんと、クリス
ティーナさんが迎えに出てくれました。どちらも
若い中国人女性スタッフです。昨年の北京オリン
ピック・オーケストラ
のときから顔なじみなので、
再会を喜び合いました。

現地時間の午後2時頃に北京国際飯店(インターナ
ショナル・ホテル)へチェックイン。drill#20先
生はさっそく練習しておられました。






上海万博プロジェクト

水行末はワールド・プロジェクト・オーストラリ
アのスタッフとホテルのバーで待ち合わせ。上海
万博(2010年開催予定)の音楽イベント担当者も
交えて3人でミーティングです。

上海万博会場および地元の大学での演奏へ、日本
からの参加団体を募る企画について意見交換をし
ました。上海を舞台に、日中あるいは日米の大学
バンドが交流演奏会を開くなど、ワクワクするよ
うなアイデアが飛び交いました。






中華三昧その1

午後にはカリフォルニアからビル・ジョンソン氏
も北京に到着。夕食は、北京側の責任者チャオ・
リーさん(数年来の友人です)のはからいで上海
料理店へ。中国側スタッフ3名、ジョンソン夫妻、
drill#20先生、水行末の7名で円卓を囲みます。

 ちなみに、この場には日中の通訳者はいません
 でしたので、会話はすべて英語です。アメリカ
 人はもちろん、中国人も日本人も、みんな英語
 でコミュニケーションしました。

「なにか食べたいものはありますか」とヤンさん
が尋ねてくれました。私は中国人による「中華料
理注文の技」を盗みたいといつも思っていますの
で、こう答えました。

「私のリクエストはひとつだけです。上海蟹をく
ださい。ほかの料理はお任せします」。

蒸した上海蟹はまことに美味! ほかにもエリン
ギと牛肉の炒め物、セロリとユリネと銀杏の炒め
物、鶏肉の辛味煮込み、饅頭(肉味噌と細切りネ
ギをはさんで食べる)、薄味のチャーハンなどが
並びます。初日から中華三昧の幸せです◎







中国語でボトミングをどう説明する?

ホテルへ戻ってから、日本語通訳のジアさんと打
ち合わせ。ウォーター&ブレスの専門用語、骨や
筋肉の名前、音符の名前、その他基本的な音楽用
語などを確認しました。

ジアさんは北京外国語大学で学んだそうですが、
とてもナチュラルな日本語。経験豊富で頼もしい
通訳者さんです。

 またまた余談ですが、黒坂黒太郎というコカリ
 ナ奏者がおられます。ジアさんは黒太郎さんの
 通訳も何度かされたことがあるので、今回、私
 の名前を見て親戚かなと思われたそうです(縁
 戚関係はありません)。






龍の国のパワーにのせて

日本社会にはなんともいえない閉塞感が漂ってい
ます。しかし中国は国家自体が「若者」という感
じでエネルギーに満ちているのを感じます。

北京海外国際音楽交流中心のスタッフも、やる気
と自信にあふれていて、アメリカや日本との国際
交流、文化交流を積極的に進めようという熱意が
伝わってきます。

私(水行末)にとって、今回の訪中は、タングマ
ジック、ウォーター&ブレスなど、一連の音楽教
育プログラムを中国のバンド指導者に知らしめる
ことがひとつの目的です。

また、ステラジャムという新しいスタイルの音楽
教育イベントを紹介し、中国のバンド(たとえば
高校生の吹奏楽団など)が来日してゲスト出演す
るような機会を模索することも視野に入れていま
す。これについては11月7日に予定されている指
導者向けセミナーで講演するつもりです。

さあ、いよいよTM中国講習会が始まります。







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【TM中国】北京市第五十七中学 11/5
中国の朝はお粥から

ホテルでの朝食はバイキング形式。アメリカンな
メニューもありますが、白粥など中国風の料理も
並んでいます。せっかくなので、白粥にザーサイ
など漬け物類、ワンタンなどを中心にいただきま
した。

余談ですが、こちらでは11月でも普通にスイカを
食べるんですね。バイキングのフルーツにもあっ
たし、ゆうべのデザートもスイカでした。







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ラストエンペラーの舞台で

さて、午前中は観光。昨夜シアトルから到着した
ブラッド・マクデイビッド氏も加わって、講師陣
フルメンバーで故宮博物院(紫禁城)を見学しま
した。

ガイドは中国人スタッフのバニーさん。マシンガ
ンのような早口の英語で中国の歴史や文化につい
て解説してくれます。天気は快晴。暑くもなく、
寒くもなく、絶好の観光日和でした。

ジョンソンさん、マクデイビッドさんはバニーさ
んと昼食へ。drill#20先生と水行末は先にホテル
へ戻りたかったので、「真功夫」という名前の中
国式ファーストフードで軽い昼食。こちらはヤン
さんが連れて行ってくれました。

午後は、北京海外国際音楽交流中心が用意してく
れた部屋で、drill#20先生はたっぷりと練習。夕
方からのクリニックに備えます。

私は部屋でメールをチェックしていると、先日の
TM鹿児島に参加された方から嬉しいお便りが届い
ていました。

 「最近までチューニングCの上のEの音までし
 かでなかったのですが、講習後の3日間でな
 んとハイDまで出てしまいました(HAB練習中
 にです)。まさにタングマジック!!!
 やっぱり舌なんですね」

とのこと。おめでとうございます!







北京市第五十七中学

夕方からクリニックに出かけます。ジョンソン氏
(吹奏楽専門)は一人で北京市八一中学へ。マク
デイヴィッド氏(マーチング専門)とdrill#20先
生と水行末の3名は北京市第五十七中学へ。こちら
の学校はマーチングやジャズに力を入れているの
で、このような組み合わせになりました。

 マクデイヴィッド氏はワシントン州立大学で
 マーチングバンドを指導。北京オリンピック・
 オーケストラでも総指揮を担当しました。

まずは学校の応接室へ通され、校長先生や学校関
係者としばし懇談。また今回のクリニックツアー
を主催している北京海外国際音楽交流中心からも
社長のユアンさんもお越しになりました。

さて、クリニック第一部は水行末のウォーター&
ブレス。持ち時間は30分ですが、大人数(60〜70
名くらい)を対象とした通訳付きの講習会ですの
で内容は絞り込まなくてはなりません。

骨格標本のミッシェルを紹介し、頸骨で立つ方法
を説明。マジックコイン、フィッシュスイムに続
いて1-2-3-2-1とMOTを練習しました。時間の関係
でボトミングは割愛。

通訳されながらのクリニックは初めての体験だっ
たので、最初は調子がつかめませんでした。W&B独
特の専門用語もダイレクトには使えないし、間の
取り方なども勝手が違うので少し戸惑いました。

でも、こういう経験はしてみるもんです。いろん
なアイデアが湧いてきました。明日はひと工夫し
て、もっとうまくできるような気がします♪

クリニック第二部はdrill#20先生のタングマジッ
ク講座。こちらも30分の持ち時間ですので、舌の
使い方(ア→イ)の基本にしぼった内容です。ダ
ブルハイCの生音を聞いた生徒たちは拍手喝采。
ハイノートは万国共通ですね。ちなみにdrill#20
先生の中国語での紹介は以下のように書かれてい
ます。「日本著名高音演奏講師杉山正」。

第三部はマクデイヴィッド氏のアンサンブル指導
です。曲は「Star Wars」を中心に。

姿勢と呼吸、ブラス奏法、そしてアンサンブルの
指導で約2時間のクリニックを終える頃には、バン
ドのサウンドが変わり始めていました。見学して
いた五十七中学の先生方も大喜びでした。

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熱烈歓迎宴会

クリニック終了後、五十七中学のお招きで、近く
の料理店へ。打ち上げというか懇親食事会です。
学校側から5人の先生、北京海外国際音楽交流中心
から2名のスタッフ、そしてマクデイヴィッド氏、
drill#20先生、水行末の10名で丸テーブルを囲み
ました。

運ばれてくる料理のボリュームがすごい。クラゲ
の酢の物、川魚の煮物(うまい!)、酢豚、山イ
モにブルーベリージャムをのせたもの(新食感で
す!)、セロリのサラダ、ミルフィーユ状になっ
たラム肉の揚げ物、スティック状の牛肉の炒め
物、水餃子、トウモロコシのサラダなどなど。そ
して、遠来の客人をもてなすために北京ダックも
忘れずに注文しておいてくださいました。文字通
り熱烈歓迎の宴でした。中国の食文化は偉大だ。







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【TM中国】北京市海淀小学 11/6
万里長城

午前中は万里長城見学です。drill#20先生は観光
をパスし、午後のクリニックに備えて「練習室」
へ。すみません、私だけ観光します◎

ジョンソン夫妻は初めての万里長城ですが、マク
デイヴィッド氏も私も数回訪れています。しかし
運動不足解消もかねて長城登りに出かけました。

往復のバスでは、ツアーガイドのバニーさんが中
国の歴史や文化、観光の見所などをいつもの早口
英語で説明してくれました。

なにしろ話すスピードが速いので情報満載です。
次回のツアーは、上海、西安、杭州などのほか
に、四川、雲南、新彊ウイグル自治区、チベット
などがお勧めだとか。

長城の天気はよく、気温も暖かくて快適。午後の
予定があるので、昼食を済ませた我々は、買い物
もそこそこに北京市街へ戻りました。






北京市海淀小学

今日はきのうとは講師の組み合わせを変えてクリ
ニックです。drill#20先生とマクデイヴィッド氏
は北京市一六六中学へ、ジョンソン氏と水行末は
北京市海淀小学へ行きます。

海淀(ハイディアン)小学は芸術教育に力を入れ
ています。吹奏楽、合唱、ダンス、中国音楽など
のコースに分かれて、英才教育的な指導がなされ
ているようです。演奏はさすがに上手です。

小学三年生のクラスをのぞかせてもらうと、トロ
ンボーンの教室、テューバの教室、ユーフォニア
ムの教室など、楽器別に分かれて指導を受けてい
ました。教えているのは人民解放軍の楽団員だそ
うです。

さて、クリニックは水行末のウォーター&ブレス
から始めました。日本語から中国語への通訳はい
つものジアさんです。

小学生が対象なので、いつもはテンポ46でやると
ころを60にして呼吸法をやってみました。それで
も12拍吸って12拍吐くという呼吸は苦しい様子。

そこで立ち方のトレーンングです。重心を足節に
落として体表面の力を抜き、身体に芯を通す。そ
の立ち方ができるようになると、あ〜ら不思議、
12拍の呼吸が難なくできるではありませんか。

さらにフィッシュスイムを指導すると、子供たち
はニコニコしながら背骨を揺すっていました。そ
うして体幹部がほぐれたところで、今度はテンポ
を46にします。ウォータートレーニングの威力は
見事で、12拍の呼吸が涼しい顔でできました。

そこまで身体が整ってからMOTに取り組みます。
この苦しい呼吸法を、目を白黒させながらやって
いましたが、さすがに小学生は飲み込みが早い。
姿勢をキープしたまま強く吐くコツを短時間でつ
かんだようでした。






史上初! 英語でW&B

つづいてビル・ジョンソン氏のバンド指導。音楽
には「ダンスの部分」と「歌の部分」があるとい
う説明。ダンス部分と歌部分をどう表現しわける
かというおもしろい話で子供たちを引き込んでい
きます。

数十分の指導がすぎた頃、海淀小学の指揮者リー
先生(この方はじつは大物なんですが、それはい
ずれご紹介します)が私のところへいらして話し
かけてくださいました。「子供たちはすぐに忘れ
てしまうので、呼吸法をもう一度復習してやって
ほしい」とのこと。

ひとつ大きな問題がありました。ウォーター&ブ
レス指導が終わった時点で、日本語通訳者のジア
さんが帰ってしまっていたことです。

どうしようかなと思ったのですが、英語通訳者の
ヤンさんが「英語で言ってくれれば私も訳せます
よ」とのこと。そうか、さっきジアさんが中国語
に訳したのを会場で聞いていたから、内容を把握
しているんですね。

そこで私は思い切って、ウォーター&ブレスを英
語で指導してみることにしました。それをヤンさ
んが中国語に訳すわけです。

ふたたび指揮台に立った私は、子供たちに事情を
説明しました。「日本語からの通訳者がもう帰ら
れたので、今回は英語でやります」。子供たちか
らは「すごい〜!」という歓迎の声があがりまし
た。謝謝!

子供たちもヤンさんもすでに内容を知っているの
で、私の未熟な英語でもなんとかテンポよく呼吸
法やフィッシュスイムをリードすることができま
した。道は開けるものですね。







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打ち上げは北京ダック

昨日同様、学校側の招きで夕食会。北京ダックの
専門店でごちそうになりました。学校側から5名、
北京海外国際音楽交流中心から2名のスタッフ、そ
してジョンソン夫妻と水行末の10名。

覚えていられないほどたくさんの皿が並びました
が、白菜の煮物、チャイニズブロッコリー(大好
物なんです!)とシイタケの炒め物、タコのスー
プなどは特に美味でした。もちろん北京ダックも。

終始なごやかな雰囲気で会食を終え、ホテルへ戻
ります。別の学校で指導していたdrill#20先生、
マクデイヴィッド氏と合流し、ホテルのバーで明
日の打ち合わせをしました。

明日は午前中にセミナー、午後にクリニック、夜
は食事会と予定がいっぱいです。セミナーには、
CASBE(中国吹奏楽アンサンブル協会→WASBE=世
界吹奏楽アンサンブル協会の中国版ですね)のメ
ンバーや、中国の吹奏楽で活躍している指導者、
音楽家など50名ほどが出席されるそうです。人民
解放軍音楽隊からも何名かお越しになるとか。気
合いが入りますねえ。

スピーチの順番や内容について打ち合わせをして
解散。明日にそなえて、ゆっくり休むことにしま
した。






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【TM中国】CASBEセミナー 11/7
中国は動いている

私(水行末)は、21世紀になってから何度か北京
を訪問しています。いつも英語を話す中国人たち
と接しているので、「普通ではない中国」を見て
いることになります。それを承知であえて率直な
感想を述べるなら、中国人スタッフの能力はきわ
めて高いと感じています。

この20年間、私はおもに音楽業界と旅行業界で仕
事をしてきました。アメリカ、オーストラリア、
そして日本で多様な人と知り合いました。その基
準で見たとき、私の知る中国人たちは、語学力、
状況判断力、企画力、行動力のいずれもハイレベ
ル。しかも親切で友好的で考えが柔軟です。デキ
るビジネスマンの見本のような人たちと何人も出
会ってきました。

そんな彼らが、アメリカをはじめ世界各国とどん
どん相互交流を深めている。その様子を目の当た
りにすると、日本はどうなるのだろうかと考えさ
せられます。気の早い人なら「もう日本はダメな
んだ」と感じるかもしれない。それほど中国の経
済、人材、文化は急速に成長しています。

私たちはいたずらに中国を敵視するのではなく、
あるいは日本政府のこれまでの無策を非難するの
でもなく、まず個々の日本人自身がもっと魅力あ
る存在となり、中国とも創造的な友好関係を築く
べきだと思うのですが、いかがでしょうか。今回
の私たちの訪中も、その小さな実践例のひとつに
なれば嬉しいですね。


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CASBEセミナー

CASBE(中国吹奏楽アンサンブル協会)および北
京海外国際音楽交流中心の主催によるセミナーが
開催されました。ホテルのコンベンションルーム
に人民解放軍の軍楽団メンバー、学校のバンド指
導者などが集まって、アメリカや日本の指導法に
ついて学ぶ会合です。

ジョンソン氏、マクデイヴィッド氏、drill#20先
生、そして水行末の4名が講師としてそれぞれ30〜
40分のスピーチをします。

ジョンソン氏はWASBE(世界吹奏楽アンサンブル協
会)およびミッドウェスト・クリニックについて
説明されました。また、来場者に音楽を聞かせて、
会場の人たちと一緒にそれを審査するアトラクショ
ンも披露してくださいました。

マクデイヴィッド氏はワシントン大学のマーチン
グバンド(ハスキーといいます)の練習方法につ
いて解説。身体作りの指導、音楽の指導、フォー
メーションの指導など具体的な方法について説明
しておられました。

drill#20先生は楽器を持って登場。会場の人たち
にダブルハイCを聞かせたうえで、どうやって金
管楽器を練習・指導すればよいかについて解説。
秘密は「舌」と「息」であることを説明し、FTB
やHABの使い方を簡潔にお話しになりました。

トリをつとめたのは水行末です。前半は「ステラ
ジャム」の採点方法やリアルタイム・コメント
式を紹介。いかに教育的効果が期待できるかを説
明しました。中国のバンドも出演してくださいと
お誘いしておきました。後半は呼吸法についての
レクチャー。「からっぽで吐く」ことの重要さと
難しさを解説しました。







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北京市少年宮

ホテル最上階のレストランでバイキング形式のラ
ンチをいただいてから、クリニック会場となる北
京市少年宮へ移動しました。

北京市少年宮は中国最大のアート・トレーニング
センターのひとつ。少年少女たちが放課後の時間
を使って芸術に親しみ、学校で学ぶのとは違うな
にかを体験する。この50年間にのべ10万人以上の
若者が課外活動の場としてここを利用してきまし
た。絵画、書道、写真撮影、舞踊、歌唱、フット
ボールなどさまざまなコースがあるそうです。

指揮をするのは、きのうの海淀小学でも指導して
おられるリー先生。美しく年齢を重ねられたやさ
しい女性ですけれども、毅然とした姿に圧倒され
ます。それもそのはず、もとは人民解放軍軍楽団
の指揮者だったのだとか。

リー先生の指揮は情熱的かつ芸術的。手が腕が肩
が背骨が、それぞれ別の生き物のように動きなが
ら、子供たちの楽器から音を引き出しています。

クリニックは、まずウォーター&ブレスから始め
ました。立ち方を整えるだけで呼吸の量が楽に増
えるのを実感してもらいます。フィッシュスイム
で肋骨まわりをほぐすことで、さらに深い呼吸が
可能になります。そしてMOTで強い呼気の練習を
しました。

身体ができたところでdrill#20先生が登場。舌の
動き、息の使い方などを説明し、金管の生徒をひ
とりずつ吹かせていきます。「ア→イ」の舌の動
きがきちんとできると、その場で音色が変わるの
がわかります。

つづいてジョンソン氏とマクデイヴィッド氏が共
同でバンド指導。チーム・ティーチングです。二
人がかりで、息の使い方、イメージの使い方、歌
い方など具体的に説明しながらサウンドを作って
いきます。

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懇親夕食会

クリニックを終えた我々はホテルへ戻り、懇親夕
食会に出席しました。中国人民解放軍軍楽団から
団長兼首席指揮者ユ・ハイ氏と軍楽団副団長2名も
見えていました。北京市教育委員会の方々や、今
回私たちが指導した学校の関係者もお越しになっ
て、4つのテーブルを囲む豪華な夕食会です。

余談(というか大切な話)ですが、今回食べた中
華料理は、ほとんどが薄味。特にスープの塩気が
薄くて美味。飽きのこない上品な味付けの料理と
たくさん出会いました。食材の使い方も奇想天外
で、ヤマイモにブルーベリージャムをかけたり、
メロンにマヨネーズをあえたり、じつに新鮮な組
み合わせです。やはり中華は奥が深い。

閑話休題。今回の訪中は、中国の学校にとっては
アメリカや日本の音楽指導法を吸収する機会であ
り、アメリカ人や日本人にとっては中国の音楽家
との人間関係を築くチャンスとなりました。また
このクリニックツアーを主催した北京海外国際音
楽交流中心は旅行会社ですので、彼らには将来の
旅行ビジネスのプロモーションとなります。

夕食会には中国音協管楽学会副主席で、中央音楽
学院の教授でもあるトランペット奏者のダイ氏も
来ておられました。ダイさんはUSC(南カリフォ
ルニア大学)で勉強されたので、英語で深くコミュ
ニケーションすることができました。FTBやHAB
に興味を持ってくださいましたので、中央音楽学
院でいつかタングマジックを指導する日が来るか
もしれません。


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インターナショナル・ステラジャム

タングマジックにとっては初めての海外遠征でし
た。勝手が違ってとまどいもありましたが、回数
を重ねるごとに感じがつかめてきました。

「インターナショナル・タングマジック(ITM)」
という言葉が頭をよぎるほど、drill#20先生にも
水行末にもインパクトのある充実したツアーとな
りました。TMが新たな段階に入ったことを感じて
います。

また、北京海外国際音楽交流中心のユアン社長と
もたくさん話しましたが、さっそく来年のステラ
ジャムへ中国から楽団を送るための根回しにかか
るとのことでした。インターナショナル・ステラ
ジャム(ISJ)への足がかりもつかめたように思い
ます。







四つの腹式呼吸

マクデイヴィッド氏が、水行末の呼吸法理論をく
わしく知りたいと言ってくださいました。クリニッ
クでは日本語から中国語へ訳されますので、アメ
リカ人には内容が十分に伝わらなかったんですね。

そこで夕食会のあと、ホテルのバーで「四つの腹
式呼吸」についてじっくり説明をしました。イン
ターナショナル・ウォーター&ブレス(IWB)で
すね(笑) 

1.ふくへこ → 順式
2.へこふく → 逆式
3.ふくふく → 尺八の密息など
4.へこへこ → ウェッジ、チェストアップなど

マクデイヴィッド氏はワシントン州立大学で250
名の学生を指導するバンドディレクター。そのメ
インとなるのはマーチングバンドなので「身体作
り」にはことのほか興味があるとか。学生たちに
は練習前の呼吸法(ふくへこ)を欠かさずやらせ
ているそうです。

私は「ふくへこ」「へこふく」は、身体作りの基
本としては有効だが管楽器演奏そのものにはふさ
わしくないことを説明しました。

楽器演奏に必要な呼気をコントロールできる身体
を育てるためには、「ふくふく」もしくは「へこ
へこ」がよいことを解説。

「ふくふく」はドイツや日本で、「へこへこ」は
イタリアやアメリカで支持者が多いこと、ドイツ
派とイタリア派は相互に否定し合っていること、
イタリア派の中でもバリエーションがあり、派閥
間での相互否定があることなどを話しました。

マクデイヴィッド氏はアーノルド・ジェイコブズ
の教えに強く影響を受けているとおっしゃいまし
た。そしてジェイコブズは「ふくへこ」こそが自
然な呼吸であると教えたので、それを練習に取り
入れているのだと。

ティーチング・ブラス」にも話は及びました。
マクデイヴィッド氏もこの本を読んでおられまし
た。本書では「へこへこ」が推奨されているので
すが、マクデイヴィッド氏は自身がテューバ奏者
なのでジェイコブズ説を採用してきたとか。

もちろん私は自説を強弁するつもりはないので、
ひとつの参考意見として「四つの腹式呼吸」案を
提示しました。しかしこのレクチャーは彼の知的
好奇心を刺激したようで、これからいろんな実験
をしてみるとのことでした。







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【TM中国】首都博物館 11/8
とてつもない博物館

予定されていた北京航空航天大学でのクリニック
がキャンセルとなりました。インフルエンザで死
者が出たためです。パイロットや宇宙飛行士を養
成するための大学で講義できることを楽しみにし
ていたので残念です。次の機会にはぜひ。

今日の予定がぽっかり空いてしまいました。午前
中はフリータイム、午後は北京海外国際音楽交流
中心スタッフの案内で、首都博物館へ行くことに
しました。

案内してくださったのは、チャオリーさん、ヤン
さん、そしてチャンさんという日本語が話せる女
性です。チャンさんは北京でトヨタに勤めておら
れるそうです。

首都博物館はとんでもないスケールの巨大な博物
館でした。2006年5月18日に開館。豊富な展示品、
先進的な技術、美しいディスプレイ、完備された
機能。どれをとっても第一級の施設です。中国に
関係する展示品だけでこれだけの博物館が作れる
のは、この国の長い歴史と現在の勢いを象徴して
いると言えるでしょう。

博物館というと、ガラクタのようなものが脈絡も
なく展示されている退屈な場所、という場合もあ
りますが、この施設は別格です。

美術館、いやアミューズメントパークと呼んでも
いいほどわかりやすく、しかも美しく見せるくふ
うが随所に見られます。映像や照明の使い方、壁
面の素材や導線にいたるまで考え抜かれた設計に
なっています。

短い時間ではとても見て回れない規模ですので、
今日はざ〜っと流す程度でおしまい。次に北京を
訪れるときは、丸一日を首都博物館見学にあてた
いと思います。ものすごい施設です。

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ラストディナーは三色火鍋

北京滞在も今日が最終夜。北京海外国際音楽交流
中心の3名とジョンソン夫妻、drill#20先生、そし
て水行末の7名で火鍋料理をつつきました(マクデ
イヴィッド氏は仕事の関係で昼過ぎに帰途へつか
れました)。

羊肉、牛肉、そしてたっぷりの野菜を三種のスー
プにいれて味わう火鍋。日本でも二種の火鍋は何
度かいただいたことがありますけれども、三種は
初めて。しかも食材の豊富さ楽しさは抜群です。
おそるべし中国。

今回の訪中で、drill#20先生も私もすばらしい経
験をたくさん得ました。すぐれた人と出会い、親
切なもてなしを受け、おいしい料理を何度もふる
まっていただきました。

私(水行末)は、日中の協力関係を今後も加速さ
せるつもりです。TMやW&Bなどの先進的な情報
を積極的に共有し、ステラジャムのようにユニー
クな教育イベントのノウハウも伝えていければと
考えています。

中国のパワフルな成長をうらやむのではなく、む
しろそれを助ける活動に私たちの希望があるよう
に感じています。日本社会が蓄積してきた知恵や
ノウハウは依然として多くありますし、次々と生
まれる新しいアイデアも、中国と交換しあうこと
でさらに磨きがかかるでしょう。

大河のように押し寄せる中国のエネルギーとふれ
ることで、日本の良さや可能性も発見できた実り
多いツアーでした。

drill#20先生と水行末は、明日午後の便で羽田へ
帰ります。

再見(ツァイチェン)!

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